八王子市 北野台内科クリニック COPD(慢性閉塞性肺疾患)肺の病気

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COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)について

肺の病気 COPD

COPDは、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)と呼ばれ、日本には500万人以上のCOPD患者さんがいると推定されています。
COPDは、タバコなどの有害な空気を吸い込むことによって、空気の通り道である気道(気管支)や、酸素の交換を行う肺(肺胞)などに障害が生じる病気です。その結果、空気の出し入れがうまくいかなくなるので、通常の呼吸ができなくなり、息切れが起こります。
長期間にわたる喫煙習慣が主な原因であることから、COPDは“肺の生活習慣病”といわれ、社会的にも注目を浴びています。

日本のCOPD患者

近年、COPDは世界中で増加の一途をたどっており、今後も増え続けると予測されています。
厚生労働省発表の2006年日本における死亡原因としてCOPDは10位となっています。特に男性では8位となっております。

日本における死亡原因(2016年)

COPDの患者さん(診断されている患者さんは)は22.3万人ですが、実際には順天堂大学の福地先生らが実施したNICE studyの結果から推定で500万人以上と報告されており、多くの患者さんが診断されていなく、十分な治療が受けられていないのが現状です。

日本における推定患者数

COPD 死は喘息死の約6倍

多くのCOPD患者さんは重症になり診断されるケースが多く、より早期の段階で診断、治療できていないのが現状です。近年、喘息疾患に関しては疾患啓発や適切な薬物治療により喘息死は年々減少傾向になっております。しかし、COPDは年々増加の傾向であり、2007年度の調査では喘息死の約6倍にもなっております。

COPD 死は喘息死の約6倍

米国のCOPD

1965〜98年の米国の統計によると、心血管疾患や脳血管疾患による死亡率は減少しているのに対し、COPDによる死亡率が増加しています。

米国のCOPD

世界のCOPD

1990年のWHO(世界保健機関)の統計によると、COPDは世界の死亡原因の第6位となっています。それだけでなく、COPD患者の数とCOPDによる死亡率は今後さらに増加することが予測されています。
世界的に、COPDに対する取り組みが急務となっているのです。

世界のCOPD

せき・たん・息切れはしていませんか?

COPDは症状に気づかず、発見が遅れがちな病気です。 下記のような症状があったときには、COPDを疑って早めに病院を受診しましょう。

代表的な症状は、息切れです!
イメージ

特に体を動かしたとき、例えば階段を上り下りするときや坂道を上るときに気づきます。 また、同年代の人と一緒に歩いていて、他の人より歩くペースが遅れてしまう、といったこともみられます。


“しつこく続くせきやたん”などもCOPDの症状です。

しつこく続く慢性の咳と痰や、風邪を引いたときや運動をしたときの喘鳴(ぜいぜいする)も、COPDの症状です。

しつこく続くせきやたん

病気が進むと、以下のような所見がみられることがあります。

  • 口すぼめ呼吸(体を動かして息切れを感じたときに、意識的に口をすぼめて呼吸する)
  • ビヤ樽状の胸部(胸の前後の幅が増大し、上体が樽のような形状になる)
口すぼめ呼吸 ビヤ樽状の胸部

主な原因は、“たばこ”

COPDは別名“肺の生活習慣病”とも呼ばれ、主に喫煙者、喫煙歴のある人に多い病気です。
タバコの煙には、約4,000種の化学物質が含まれています。この中には有害な化学物質も数多く含まれていますが、とくに人体に悪影響を及ぼすのは、ニコチン、タール、一酸化炭素です。タバコの煙に含まれるこれらの有害な物質が、気管支や肺を傷つけることにより、肺胞がこわれたり気管支に炎症が起きたりします。 また、受動喫煙によってもCOPDは発症することがあります。
喫煙以外の原因として、大気汚染や職業的な塵埃や化学物質などがあります。

たばこ

病院に行く前に

このような症状がある人はCOPDかもしれません。 早いうちにまずはチェックしてみましょう。

病院に行く前に

肺機能検査の実際

肺機能検査は、スパイロメーターという機械を用いて行います。この検査は、最大限に息を吸えるだけ吸い、それを思い切り強く吐き出した空気の最大量「努力肺活量」(FVC)と、最初の1秒間に吐き出せる空気の量「1秒量」(FEV1)を測定し、「1秒量」を「努力肺活量」で割った「1秒率」(FEV1%)を算出します。 この1秒率が70%未満の場合は、COPDの可能性があります。

肺機能検査の実際
早めの治療が重要です!

COPDは治療可能な疾患です。COPDを治療することにより、病気の進行を遅らせ、息切れなどの自覚症状を軽くし、運動能力を高めます。 治療を行うことで、同年代の健康な人と同じような生活を送ることができます。
COPDの実際の治療は、さまざまな方法を組み合わせて行います。

早めの治療が重要です!
  • 禁煙:治療の基本です
  • ワクチン接種:急性増悪を防ぎます
  • 薬物療法:息切れをやわらげ、運動能力を高めます
  • 呼吸リハビリテーション
    • 理学療法:息苦しさをやわらげます
    • 運動療法:呼吸に関係する筋肉を鍛えます
    • 栄養管理:体重減少を防ぎます
  • 在宅酸素療法:COPDが進行し、低酸素血症になったときに導入します